トリケラトプスの肌とレバー
この前中華料理屋でレバニラ定食を食べた。
メニューは「ニラレバー」とあった。
ふむ。どちらかというともやしが多かった。
ジュディオングが流れる小さな店内に、
小学生の男の子とその両親という家族がご飯を食べに来ていた。
正しくは、もう間もなく小学生になる男の子だった。
会話の内容的に、新学期(入学)の準備をしている感じ。
上履きの袋とか、学童保育とか、とかとか。
そんな中、上履きの袋について少年が言ったのだ。
「小学生にもなってアンパンマンなんて恥ずかしいからいやだ。」
「じゃあプラレールは?」
「それもだめ」
ほほう…
そういう年頃か、少年。
アンパンマンなんて小学一年生ならええやろ、という気もするが、そこはなんだか恥ずかしいんだろうね。
「そんなようちえんせいみたいなやつおれはやだぜ。」
みたいな。
そこで次の一手が「プラレール」っていうお母さんは「家にある布で済まそう感」がすごいよ!忙しいのはわかるけど!!
そして、アンパンマンもプラレールもだめなら、いったいなんだったらいいんだろうか。バーバリーみたいなチェック柄とか出したら「おやじくさい」とか言うんだろうな。キャラプリント系しかないと思うんだけど男の子にはどんなキャラがいいんだ。むずかしい。
女の子の場合、「3歳まではアンパンマンでそれからあとはプリキュア」というのは聞くけども。
そのあとの会話も面白かった。
「今日はイッテQ見せないで早く寝させてよね」
「イッテQ見る!DASH島も見る!」
「ああ、DASH村は見ていいよ、でもイッテQはだめ」
「DASH村じゃないよ、DASH島だよ」
「村」って言いたくなるよね。そうよね。
明雄さんの思い出が走馬灯のようだよ…
今はもう「島」ですからね。やっぱ日曜の日テレはゴールデンタイムそのものなんだろな…子供の冒険心くすぐりまくり。
***
今日ひさびさに「迷子のアナウンス」というものを聞いた。
田舎にはやたらとでかいスーパーがよくあるし、そのやたらとでかい空間で普段の買い物をするから、なんだかしょっちゅう聞いていたような気もするけれど。
東京のスーパーは狭いのだ。
迷子が現れるような広いところはいわゆるショッピングモールなのだ。
そういうところに行かないと迷子も現れないのか。
こういうところにも土地の使い方、遊び方の違いを感じる。
***
幼稚園の頃に迷子になったことを思い出した。
幼稚園の遠足で山の中の公園に行ったときだ。
恐竜のオブジェみたいな滑り台や遊具がいっぱいあって、長い長い滑り台が人気の公園だった。
みんなしてその長ーい滑り台に何度も何度も乗るわけだけれど、なんだか気が変わった私は数回目で「やっぱいいや」と宣言し滑り台から去ったのである。
滑り台を降りてくるもんだと思っている母は滑り台の下で「ママ友(当時そんな言葉はなかったが)」とだべっていた。だがいつまでたってもわが子が滑り降りて来ない。
こりゃ迷子か。
母は必死に探したそうである。
だがしかし田舎の遠足シーズンなんて幼稚園同士で行き先がかぶるなんてしばしばで、パステルカラーの色のついた帽子でちびっこを見分けるしか術がなく。後から聞いたら本気で「どうしよう」と思ったそうだ。
一方のわたし。
滑り台から離れて恐竜の遊具でふわふわと遊んでいて、はたと気づく。
「みんないないじゃん…」
自分から離れといて「みんないない」もくそもあるかって話ですが、幼い私なりに友達や親を探し始めました。今でも思い出します。
トリケラトプスに壁ドンしながら「どうしたものか…」と絶望する自分を。
※注:トリケラトプス型の滑り台によっかかってただけ
そこで私は探すのを諦めました。
自分たちの荷物が置いてあるビニールシートの場所は覚えていたので、そこで大人しく待機していました。あろうことか当時ハマっていた「GREEN GUM」をくっちゃくっちゃと噛んでいました。
我ながらチョイスが渋い。
正座してくっちゃくっちゃとガムを噛みながら、周りできゃあきゃあと遊ぶ児童たちを「さてどうしたものか…」と考えながら眺める。4才児とは思えん…
そんなことしてたら母が見つけてくれました。
それを聞いた父は「自陣に帰って待機なんてたいしたもんだ」みたいなことを言ってたそうです。武将か俺は。
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大人になった今も自分を迷子にしてしまいそうなときがありますが、いったん元の場所に戻ってぼーっとしてみるのも大事なのかもしれないなと、おもいました。
そんな武将もほんとにいたのかもよ。戦場には。