読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ってかさぁ。

この接続詞の続きはたいてい役に立たない。

無我夢中五里霧中

人生で初めて金縛りにあった。

 

急に「びくん」と身体が強ばる。びりびりと震えているようだ。右手を動かそうとしても全く言うことを聞かない。目が開いているのかいないのか、それすらもよくわからない。

 

自分の上に何かがのしかかってきた。「ずしり」とのしかかる「それ」は、暗い部屋では正体すらつかめない。「それ」は黒い何かにも見えるし、ただ部屋が暗くてよく見えないのか、「何かがいる」という感覚だけで何もいないのか、わからなくなってくる(何もいないはずなのだけれど)。

 

お腹にかけていたタオルケットを「それ」は私の顔の方まで「ぶわっ」とかけてきた。抵抗できているのかいないのか、わけがわからなくなっている。金縛り中の感覚は全て思い込みなんだろうとは思うが、初めて金縛りに遭遇した私にはとてつもなくリアルな恐怖体験でしかない。

 

街灯の光が漏れ入っているのか、一瞬部屋の天井が見える。おかしい、私の部屋はこんなに天井が高くない。吹き抜けのような高さで天窓がある家で寝たことなんかない、どこだここは、どこなんだ。

 

頭に「コツン」と衝撃が走る。小さな水筒サイズの細長い固いものを投げつけられた。なんだ、「それ」はそんなことまでやってきやがるのか。ただではおかぬ。その水筒サイズの何かを掴んだ(ように感じた)。名探偵コナンの犯人役のような黒いシルエットで、その水筒サイズの何かが見える。引っ張る、とりあえず引っ張る。なぜだこっちに引き寄せられない。なんだ、お前も引っ張っているのか、綱引き状態か。はて、そうすると、この水筒サイズの先に「それ」がいるということか。およそ20cm先に「それ」がいるのか。ええいままよ、正々堂々と闘ってやろうではないか。姿を見せやがれ。

 

***

 

気づいたら朝になっていた。

 

タオルケットが「ぶわっ」とかかったのは、自分で寝返りでもうったのかもしれない。

頭に「コツン」と衝撃が走ったのは、どこかにぶつけたのかもしれない。

 

夢と、現実と、「これは夢だから」と思っているメタ視点の自分と、こんなにもめまぐるしく視点が変わっていく不可思議体験は初めてだった。今思っても、どこまでが本当に自分の体が動いていたのか、もしくは全て夢だったのか、まったくわからない。

 

世界各国では悪魔や霊の仕業ということが多いようだ。

金縛り - Wikipedia

何かに襲われている、という感覚は共通している。

 

寝不足やストレスが原因とされるらしいが、詳しいことはわかっていない。仮に何かに襲われているとすれば、「不摂生」という自分の生み出した何かが真っ黒な「それ」となって私を正しにきているのかもしれない。

 

もしまた金縛りになったら、もう少し大人しくしていられるだろうか。

またあの状況をメタ視点の自分に観察してほしいなぁ、という変な欲求も出てきているから困ったものだ。

不可思議な体験は恐ろしいが、興味をそそられるものでもあるのだ。

 

こわいけど、知りたい。