ってかさぁ。

この接続詞の続きはたいてい役に立たないけど、でも言いたくなることを書きためるブログです。

アラビア半島は草原だったかもしれない~アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝@東京国立博物館 表慶館

寒い寒い週末に、砂漠の国サウジアラビアの歴史を学んできました。

 

というと真面目な感じがしますが、博物館活動です。東京国立博物館 表慶館で開催されている『アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝』を見てきました。

www.tnm.jp

 

アラビア半島ってあるじゃないですか。

アラビア半島 - Wikipedia

Wikipediaで恐縮ですが、半島のほとんどはサウジアラビア。砂漠、石油、イスラム教、そしてサッカー、とかとかのイメージ。サウジアラビアの皇太子が来日したときは、日本でも大きなニュースになりました。

 

高校の世界史でアラビア半島の話が本格的に出てくるのは、622年のヒジュラ(聖遷)のあたり。ムハンマドがメッカからメディナに本拠地を移して、イスラムの歴史が始まったとされる年。私のアラビア知識はイスラム教とセットになってたのかと今更気づきました。世界に目を広げると、宗教なんて関係なく人類の進化から始まってアウストラロピテクスとか旧石器時代とか紀元前とか言ってるのに、この地域の昔の姿なんて考えたこともなかった。

 

というわけで、イスラム教が成立する前の、遺跡調査に基づくアラビア半島の歴史が知れてとても面白かったです。新発見ばかりだった。

 

全体で5章構成。

展示の量も多すぎず、混雑もそんなにしておらず、ゆっくり見れてよかった。

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第1章 人類、アジアへの道
第2章 文明に出会う道
第3章 香料の道
第4章 巡礼の道
第5章 王国への道

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詳しくは公式HPに書いてあるとおりです。←

あとは感想をつらつら。

 

一番最初に矢尻とか打製石器とか埴輪みたいなやつが出てきて、「そこからさかのぼるのか!」と少し驚いた笑

 

アフリカからホモ・サピエンスがじわじわと世界に拡大していくにあたり、きっとアラビア半島も通り道だったわけで。「当時の気候条件だとアラビア半島のあたりはステップ(草原)地帯だったかも」というようなことが解説に書かれていて(写真撮っておけばよかった、うろ覚え涙)、「考えたこともなかった!」と目から鱗でした。あの広い半島が、馬が駆け回るような草原地帯だったかもしれないなんて…

 

紀元前3000年頃の像もあって驚き。でもピラミッドもその頃かと思うと、交易路だったんだからそりゃあ何かしら残ってるよな...と思い至る。メソポタミア文明インダス文明の間をつないでいたとか。あとは香料の交易。海のルートも陸のルートも外せない半島だったのね。

 

エジプトの遺跡にありそうな、大きな人間の像が展示されていました。頭と腕は欠けていて完全な姿ではなかったけれど、迫力があります。というか気になったのは「膝のリアリティ」。圧倒的膝。膝の筋リアルすぎ。上半身のバランスちょっとおかしいのに、膝、リアルすぎ。ぜひ見てほしい。オアシスの都市を中心に、多くの国があったようです。初めて聞くものばかり。

 

ローマ帝国の時代、ヘレニズム文化の頃になってくると、ローマ人ぽい巻髪の頭像があったりして。あとはガラス製品も、壺も、なんとなく地中海風。5階建てくらいの大きな建物がフレスコ画に描かれていて、空想なのか現実を描いたものなのか、どっちにしてもとてもロマンあふれるなぁと!!!遺跡からCGでイメージした当時の街並みムービーもあったのですが、砂漠の真ん中に高い塀に囲まれた四角い都市が浮かび上がって夕陽に照らされるわけです(CGだけど)。遠くから街を見つけた旅人はすごく幻想的な気持ちになったろうなぁなんて思ったり(イメージだけど)。

 

オアシスがあるだけでそれだけ重要な都市として発達するんだから、昔から水にあふれている日本なんかとは価値観が全然違うだろうな~

 

そうこうしているうちにイスラム教成立後の展示に。

交易路が今度はカーバ神殿への巡礼路としても機能を果たすように。巡礼路って人の往来が多くなるから、交易路としてもどんどん発達。

 

アラビア文字が成立して、飾り文字が描かれた墓碑なども展示されていました(今更ながらお墓の碑なんだよな…いいのかな…)。草花モチーフと合わせて飾り文字が美しくなっていくのが素敵でした。全然読めないしどこからどこまでが文字だかよくわからなくなるけど。日本のひらがなも似たようなもんか。

 

そして驚いたのが、カーバ神殿で実際に使われていた「扉」が展示されていたのですよ!400年くらい前のものかな?けっこう大きかったけど持ってこれるもんなのね!笑

 

装飾もそうですが、言葉にならない荘厳さのようなものがありました。

 

カーバ神殿を上空から撮影した「巡礼の様子ムービー」もありました。ものすごい量の人が一定のペースでぐるぐる回っていて、祈りや信仰のひたむきさってすごいなと。初詣に並ぶ日本人みたいなものかとも思うけれど、彼らは一生のうちに一回は巡礼するっていう義務を負っているので、思いが違います圧倒的に。

 

カーバ神殿を含む全体のモスクを「マスジド・ハラーム」と言うのですが、ぜひググってください。ものすごい数の人で埋め尽くされる広場の画像が出てきます。あと、検索3位くらいにエクスペディアの旅行プランが出てきます笑 そうか、巡礼プランってことか....!!

 

ちなみにですが、最近読んだ漫画はイスラム教に対する考え方が変わるよい漫画でした。ムスリム女性と日本人留学生がルームシェアをする4コマ漫画。かわいいものが好きとか、女子会をするとか、私たちと同じで。でもお祈りは欠かさない彼女たちの気持ちにハッとさせられます。おすすめ。

sai-zen-sen.jp

 

そしてサウジアラビア王国ができる現代へ。オスマン帝国と戦った頃のライフルなど軍事用品も展示する幅広さ。初代の王様の「はやぶさ用とまり木」の展示には「そんな展示品名があるなんて考えたこともなかったぜ」と思わず二度見。

 

***

 

結局イスラム教の話になってしまいましたが、ボリュームとしてはそれ以前の時代の方が多かったかな?

 

結局私たちが知ることができるのは、文字として残っているものが一番わかりやすいし、発掘品がたくさんあるほうがわかりやすい。そういう地域は研究が進むし、歴史の勉強の中で厚みを増していく。

まだ研究が追い付いていなかったり、明確に言えることが少なかったり。そういうものは教科書には載らない。知識としてなかなか触れられない。一方で、ローマやエジプトのお隣で活発に栄えていた街があることは事実だし、もっとさかのぼると人類の通り道だったことも事実です。思い至っていなかっただけですね。

 

「考えたこともなかった!」ということに気づかされた体験は新鮮でした。

普段なかなかそういう経験できないし、興味あるひとはぜひ。

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