遠浅の好奇心

海・湖などで、岸から遠く沖の方まで水が浅いこと。そういう所。

素直に綺麗で美しい~ロマンティック・ロシア@Bunkamura ザ・ミュージアム

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで「ロマンティック・ロシア」という展示を見てきました。

www.bunkamura.co.jp

 

19世紀後半のロシアの作家によるロシアの絵。

ロシアの美術はあまり馴染みがなかったのですが、HPトップの女性の絵「忘れえぬ女(ひと)」がメインデザインになっているポスターをたまたま見て、一目で「この展示は行きたい!」と思いました。

だってあまりにもロマンティックな目線じゃないですか。憂いと美しさと。

公式HPを見ると、他にも美しい風景画や肖像画があるというし、Twitterを見るとそんなに混んでなさそうだし。というわけで行くことに。

 

展示の構成は春夏秋冬の風景画から。

何と言ったらいいか、とにかく全部繊細で美しいんです。雲の形、霧深い森、冬の樹氷、なぜかキラキラ輝いているように見えてくる。油絵の凹凸のせいでそう見えるのかなと思ったけれど。広大な大地を活かした絵がとても美しかったです。

「北の大地だな」と感じたのが、日差しの角度。緯度が高い地域だから、太陽がそんなに高く上らない。そのせいか、どの風景画でも日差しが傾いている、斜めから差し込んでいるような雰囲気がするんですね。絵の中に明るい光は目立たないけど、その分「木漏れ日」「水面」「雪」「雲」「霧」といった間接的に光る(反射する?)部分がきれいに映し出されているようで。大きい絵もあるし壮大な風景の絵もあったんだけど「どーん!」という感じじゃなくて。湖畔や道端にたたずむような静けさを感じました。

 

人物画のコーナーでは、カップルがボートの上で語り合っている絵や、男性が女性に言い寄っているワンシーンを切り取った絵も。言い寄っている一方でちょっと嫌そうな女性っていう関係性が面白かったな。肖像画だけでなくて、誰かと誰かが一緒にいるような絵、子供の絵もありました。どれもわざとらしくないのがよかった。「こういうシーンです」という説明的な絵ではなくて、日常を切り取った感じ。

あとはロシアの街や港、都会の風景も。

 

ここまで来て思ったのが、「宗教画が一個もない!」ということ。だいたいどの展示でもマリアやイエスの絵が1コーナーを占めるけれど、今回は全然なかった。リアリティしかなかった。そこも新鮮でした。個人的には、生活や風景を切り取った今回の絵は前提知識なしで率直に楽しめるもので、とてもよい展示でした。もちろん宗教画もきれいだし表現方法が面白いし見どころはたくさんあるけど、聖書に基づいた人物設定の知識がないと理解しきれないこともあるしね。

今回は率直に「きれいだわ」「うつくしいね」と感想を言える展示でした。

 

だって「忘れえぬ女」なんて正直誰だか知らないけど、思わず見入っちゃうよ。

 

展示を見終わってお土産コーナー。マトリョーシカがたくさん。チェブラーシカも限定商品があったみたい。

 

チケットの半券を持ってミュージアムすぐそばのカフェ「ドゥ マゴ パリ」へ。

ドゥ マゴ パリ | レストラン&ショップ | Bunkamura

 

今回の展示とコラボした「モスコミュール」があったので、半券を見せて100円引きで堪能しました。ホットが選べたので初めてホットモスコミュールにチャレンジ。寒い身体にじんわりとジンジャーが染み入りました。あとからウォッカがじわじわと。そんなにアルコールな感じがしなくて飲みやすかったです。

 

モスコミュールは「モスクワの騾馬(ラバ)」という意味だそう。ラバに蹴飛ばされたように効いてくる酒らしい。本場のモスクワではもっとウォッカがきついんだろうなぁ。

 

オランダの寓意的な絵や抽象的で不思議な絵を見ることがこのところ多かったので、純粋にきれいな絵を久々に堪能しました。これで日曜日で混雑していないのが驚き!穴場なのでぜひおすすめします。