YUKIの『COSMIC BOX』の世界に沈みたい
カラオケで気持ちよく歌えたときは気分がいいものである。久々にジュディマリの『そばかす』を歌って、思ったより上手く歌えていい気分だった。
でも私が好きなYUKIの曲は『COSMIC BOX』という曲だ。
ただ、誰でも知ってる歌ではないのでカラオケでは歌わない。ジュディマリもYUKIも好きだけど、歌手の中で一番好きというわけでもない。でもその中でいうとこの曲が一番好きだと思う(そもそも純粋なファンではないから、少ない知っている曲の中で選んでいる)。
翌日に『COSMIC BOX』を久々に聴きなおして、ついでにwikipediaを読んだら当時のYUKIのインタビューがあって。それを読んだ上でまた聴いて、歌詞を見直して。そんなことをしていると、昔とまた違うところで感動するのだ。
数年前は「公園の砂場に残されたシャベルを、宇宙に飛び立つロケットのコクピットに見立てる想像力たるや、素晴らしすぎかよ」とか思ってたんですが、今見るとまた違うわけで(そこもすごく好きなんだけどね)。
最後のほうのサビなんですが、
遥か遠い昔から
伝わる言葉も全部無意味だとしても
誰かが紡いだ
愛と未来の歌をうたおう
もはやここに「自分」とか「現在」はないんですね。
「愛と未来の歌」は「自分」ではなく「誰か」が紡いだものであって、それをうたおうよ、と言うんですね。しかもずっと紡がれてきたものが無意味だとしてもなんですね。
一方で1番のサビのところで「遥か遠い昔から意味のある偶然を伝えているんだ」と言う歌詞があって。伝えたいとか、残したいとか、そう思っているものとは別に「意味のある偶然」と言うものが私たちの中に残されているのだと。
日常生活でちまちま落ち込むとか、そういう次元をすっ飛ばしててすごいなと。
私たちはただ生きているだけで、ずっと昔から伝えられている何かを未来に残していくことができて、それって素敵なことよ、と語られてる感じというか。じゃあいったい何を伝えていっているのか、そんなことを考えるのは無粋だわ、というか。
ああ、なんだろうこの世界観の壮大さをうまく伝えられない…!
そこに「公園の砂場のシャベル」ですよ…!
何この俗世と森羅万象っぷり…!
「YUKIのオフィシャルファンクラブの名前がCOSMIC BOXに決まった」というニュースが今年の4月に出ていた。あんなにたくさんの歌を歌ってきた彼女自身にとっても、きっと思い入れの深い曲だったんだろうと思う。ちょっとうれしかった。