ってかさぁ。

この接続詞の続きはたいてい役に立たないけど、でも言いたくなることを書きためるブログです。

ジュエリー加工に人類みんなどんだけ頑張ってるの~真珠@松濤美術館~

松濤美術館で「真珠― 海からの贈りもの」展を見てきました。

真珠|渋谷区立松濤美術館

 

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以下、HPより引用。

世界最古の宝石のひとつである真珠。貝をあけ、そのなかから取り出される真珠は、カットや研磨など人間の手を加える前から美しい輝きを放ち、古くから人々を魅了してきました。真珠があしらわれた宝飾品は、富や権力の象徴でもあり、王侯貴族はこぞってそれらを身につけました。
本展では、古代から近代に至るまで英国をはじめとするヨーロッパ各国で製作された真珠の装身具を展示します。これらの装身具は素材の美しさはもちろんのこと、洗練されたデザインや職人による精緻な細工が施されたもので、真珠の宝飾文化のすばらしさを伝えています。
その他にも、本展では日本における真珠の歴史についても取り上げます。1893(明治26)年に御木本幸吉(1858-1954)が世界で初めて真珠の養殖に成功した後、今日に至るまで日本における真珠の養殖は発展し続けてきました。明治以前の日本では真珠が装身具として用いられることはほとんどありませんでしたが、養殖真珠産業が興った後には、高度な金属細工技法による美しい装身具が製作されるようになりました。
まさに「海からの贈りもの」である真珠。本展ではその魅力を多面的にご紹介します。 

 

松濤美術館は地上2階、地下1階で3フロア。1フロアがそんなに広くなく、全体としてはこじんまりした美術館。上野などメジャーな美術館に比べたら展示量は少ないけれど、集中力維持したままじっくり見れるので、このくらいの量で私はちょうどいいです。そんなに混雑していないから展示品を見るために並ぶこともない。自分のペースでゆっくり見れます。

お値段も大人1000円とリーズナブル。真珠のアクセサリーを身に着けていくと2割引でした(事前に気づかず通常料金を支払った自分…)。

 

さて、以下のような展示構成です。

  • 序章 古代の真珠装身具
  • 1章 ルネサンスからロココ
  • 2章 ジュエリーが花開いた19世紀の真珠
  • 3章 19世紀末から20世紀初頭 ひろがる真珠の世界
  • 4章 代表的な真珠貝と真珠
  • 5章 いにしえの日本の真珠
  • 6章 真珠王御木本幸吉 日本の真珠装身具の黎明
  • 7章 人の手から生まれた真珠 養殖真珠

 

以下、感想をつらつら。

 

・紀元前3世紀のアクセサリーのレベル高すぎ問題

2300年前くらいのイランで発見された金のイヤリング。金の部分はシリンダー状にきれいな5mmサイズの円筒(しかも彫ってデザインしている!)がつながっていて、細かい加工がなされている。先端に真珠がついていて、現代でも通じるデザイン。そんな時代にこんな細かい加工ができたのかと驚く。ネックレス(これは帝政ローマ期だったかな?)もフックの部分が現代とそんなに変わらない仕組みで作られていて、レベル高すぎてビビった。

 

 

・エナメルってなんだっけ

時代が下ると「エナメル加工」されたアクセサリーがほとんど。「エナメル」ってなんだっけ?と思い、その場でググる。日本の七宝焼きみたいなもので、金属を下地にして釉薬(ガラス質ぽいもの)を入れて高温で焼くこと、らしい。Wikipediaの説明が長くてよくわからんかった。でも展示後半で短くまとめて解説してくれていた。早く気づけばよかった。他にもジュエリー制作の専門技法について解説がまとめてあったので重宝した。欲を言えば、専門用語一覧は展示の前半に置いてほしかった。作品ごとの解説を読むときに知らない専門用語が出てきて、その時点で「他の場所に解説がまとまってると知らずにググる」ということをしてしまったので。でもまとめて解説してくれるのはありがたい!

さっきググったら熱のこもったエナメル解説記事を発見して、わかりやすかったので貼っておきます。

エナメル 七宝 アンティークジュエリー

 

・江戸時代以前の真珠の扱い

日本で最も古いとされる、縄文時代の「縄文真珠」が展示されていました。いびつな形で綺麗に光っているわけでもない。少し白くてきれいな石、と思われてもしょうがないかも。石マニアの縄文人が拾って取っておいたのでしょうか。

江戸時代の真珠についても詳しい解説がたくさん。当時は粒の小さい真珠がメインで、装身具ではなく薬になっていた!つぶして薬にしていたかと思うと、なんともったいない…大きな真珠が珍しかったのと、加工技術がそんなにないから今イメージする丸くて輝く真珠なんて無かったのだ、と思うと「珍しいものを飲んだら効く!」という発想のほうが優先されそう。長崎のほうには「真珠奉行」「玉奉行」という真珠漁取り締まり業務を行う人がいたそうです。お金になったのかしら。

 

・日本と海外のデザインの違い

前半は、18~19世紀ヨーロッパのアクセサリーが多数展示されていました。後半に日本の真珠ジュエリー(まさにミキモト!)があったのですが、デザインに違いがあるなと。ヨーロッパの方は、大きな真珠、小さな真珠、他宝石多数を敷き詰める。エナメルも色をつけてきれいに埋める。3mmほどの小さな真珠も糸を通してつなげてぎっちり並べる。そう、隙間なく埋める!一方で日本は隙間が多い。HPに載っている<帯留「桜」>はまさにそうで、空間の美があるからこそ全体のデザインが際立つ、という感じがしました。皇室の方が使っていたミキモトのネックレス、とてもきれいだった…個人的には日本のほうが好みです。

 

 

コロナもあって久々の美術館でしたが、しっかり楽しめました。松濤美術館は館内人数50人の人数制限を設けており、感染ルート調査のための住所記載、体温測定、消毒などなど工夫しているのが伝わりました。小規模な美術館ほど大変だろうなぁ。

 

娯楽を楽しみにくい昨今ですが、渋谷の小さな美術館に行ってみるのもよいのでは?過去にはこんな展示も。エッジのきいたテーマで面白い。

habitaso.hatenablog.com

 

松濤美術館、建物も素敵なのでおすすめです。